堀辰雄
京と近江という地理的距離が男と女の心理的距離の表象となっており、京で育んだ思慕は近江には存在し得ないという構造は、無意識にハッピーエンドを期待する読者を華麗に裏切ってくれた。歌題となるような動植物が自然に取り入れられている点もまるで和歌を嗜んでいると読者に錯覚させるようで、始終美しい作品である。
真実の愛とは人間には手の届かぬものなのです。
王朝物である。 儚い女性を描くのが得意ですね、この作家は。