「「陰獣」その他」の感想
「陰獣」その他
いんじゅうそのた
初出:「新青年 第九巻第一三号」1928(昭和3)年11月号

平林初之輔

分量:約11
書き出し:一陰獣評江戸川乱歩氏の「陰獣」は、同氏の久し振りに発表した作であったのと、同氏独特の念入りな、手のこんだ、寸分のゆるみもない作品であったとのために、探偵小説の作者仲間では、異口同音に近い好評を博したようである。私も増刊〔『新青年』〕の分を読んで、九月号は雑誌が着くとすぐに旅に出たので、旅先で買って読み、十月号の分も雑誌が着くと真っ先に読んだ。その点で「陰獣」は完全に成功している。ことに九月号の作者...
更新日: 2022/01/05
ハルチロさんの感想

本作品は、当時、世間に認知されてきた「探偵小説」に対する評論、批評を著している。本作品は、3部に別れており、何れも「探偵小説」に対してーー特に、江戸川乱歩氏に対してーー、肯定的価値観を表している。自分は、本作品表題にある『陰獣』を読んでいる。本作品での『陰獣』の評価ほど、深い洞察や構成、背景観察が、出来ないものの、本作品における批評に頷ける。もし、江戸川乱歩氏の『陰獣』を読まれた方は、本作品を読まれた方が良いと思う。逆に、『陰獣』をお読みでない方は、先に『陰獣』をお読みになられるか、『陰獣』批評の部分を読まずに、本作品を読み進められることをお勧めします。