堀辰雄
堀辰雄らしい細やかな筆致が、複雑な事の成り行きをより複雑に、より鮮やかに、より繊細に描き出していた。2人の女性と2人の男性という主な登場人物の心理描写が非常に細かく表現されており、多重に変化するその様子の深層を理解するには復読が必要だと感じた。視点の変化もまた作品に深みを持たせていた。
苦悩するために恋をして、苦悩するために生きていた人々の話だ。この作家の作品は、内気な読者好きの女子生徒が休み時間に教室の片隅の席に座りながら読んでいるという印象がある。