「聖家族」の感想
聖家族
せいかぞく

堀辰雄

分量:約41
書き出し:死があたかも一つの季節を開いたかのようだった。死人の家への道には、自動車の混雑が次第に増加して行った。そしてそれは、その道幅が狭いために、各々の車は動いている間よりも、停止している間の方が長いくらいにまでなっていた。それは三月だった。空気はまだ冷たかったが、もうそんなに呼吸しにくくはなかった。いつのまにか、もの好きな群集がそれらの自動車を取り囲んで、そのなかの人達をよく見ようとしながら、硝子窓《ガ...
更新日: 2025/07/24
ふねりさんの感想

堀辰雄らしい細やかな筆致が、複雑な事の成り行きをより複雑に、より鮮やかに、より繊細に描き出していた。2人の女性と2人の男性という主な登場人物の心理描写が非常に細かく表現されており、多重に変化するその様子の深層を理解するには復読が必要だと感じた。視点の変化もまた作品に深みを持たせていた。

更新日: 2015/12/26
奥津棄戸明さんの感想

苦悩するために恋をして、苦悩するために生きていた人々の話だ。この作家の作品は、内気な読者好きの女子生徒が休み時間に教室の片隅の席に座りながら読んでいるという印象がある。