小酒井不木
本作品は、戦前の少年向け科学誌に掲載された推理小説です。少年誌向けに書き下ろされた作品なので、“少年探偵”による事件解決となりますが、トリックに対する対応は、“科学誌”掲載作品らしく、科学的根拠に基づく解決方法が採られており、面白い作品です。また、本作品の事件背景には、南関東大地震(関東大震災)が使われています。未曾有の天災事変は、当時の人々の意識の中に深く刻み込まれていることが、よくわかります。