「墓地の殺人」の感想
墓地の殺人
ぼちのさつじん
初出:「子供の科学 七巻一~六号」1928(昭和3)年7~12月

小酒井不木

分量:約62
書き出し:第一回一皆さん、これから申しあげる探偵談は、少年科学探偵|塚原俊夫《つかはらとしお》君が、自分でもいちばん骨を折った事件の一つだと申しているほど、面倒な殺人事件であります。そもそも犯罪探偵の際、いちばん難しいのは、殺された人の身元の分からぬ時です。明らかに他人の手によって死に至らしめられた死体でも、その死体が何の誰だということが分からなくては、犯人捜索の手のつけようがありません。ですから、これまで...
更新日: 2019/07/26
ハルチロさんの感想

本作品は、戦前の少年向け科学誌に掲載された推理小説です。少年誌向けに書き下ろされた作品なので、“少年探偵”による事件解決となりますが、トリックに対する対応は、“科学誌”掲載作品らしく、科学的根拠に基づく解決方法が採られており、面白い作品です。また、本作品の事件背景には、南関東大地震(関東大震災)が使われています。未曾有の天災事変は、当時の人々の意識の中に深く刻み込まれていることが、よくわかります。