「按摩」の感想
按摩
あんま
初出:「新青年 増刊号」博文館、1925(大正14)年8月号

小酒井不木

分量:約10
書き出し:コホン、コホンと老|按摩《あんま》は彼の肩を揉《も》みながら、彼の吸う煙草の煙にむせんで顔をしかめた。少し仰向き加減に、首と右肩との角度を六十度ぐらいにして居るところを見ると、生れつきの盲人《めくら》であるらしい。郊外の冬の夜は静《しずか》である。「旦那はずいぶん煙草ずきですねえ。三十分たたぬうちに十本あまりも召し上ったようですねえ」と、彼は狡猾《ずる》そうな笑いを浮べて言った。「うむ。俺はニコチ...
更新日: 2020/05/28
ジャンボさんの感想

按摩が語る過去の罪と失明に至る恐ろしい体験談……が、実は煙草の煙が嫌いで、揉んでいる間に患者に吸わせないようにするための嘘というオチ。落語のようで好き。