「鳥辺山心中」の感想
鳥辺山心中
とりべやましんじゅう

岡本綺堂

分量:約59
書き出し:一裏の溝川《どぶがわ》で秋の蛙《かわず》が枯れがれに鳴いているのを、お染《そめ》は寂しい心持ちで聴いていた。ことし十七の彼女《かれ》は今夜が勤めの第一夜であった。店出しの宵——それは誰でも悲しい経験に相違なかったが、自体が内気な生まれつきで、世間というものをちっとも知らないお染は、取り分けて今夜が悲しかった。悲しいというよりも怖ろしかった。彼女はもう座敷にいたたまれなくなって、華やかな灯《ひ》の影...
更新日: 2016/10/31
652a80165a76さんの感想

時代物ですが古語も少なく非常に読みやすい文章です。 登場人物も少なく半九郎とお染、友人の市之助と源三郎の兄弟とシンプルです。 遊びに慣れた兄の市之助と真面目過ぎる弟の源三郎。 廓通いをしていてもあちこち遊び歩く市之助と一人だけに通い続ける半九郎、とわかりやすく人物対比が描かれています。 些細なことから果たし合いに発展し悲しい最後に帰結しますが、お染にとっては彼女の境遇から辿り着ける最良の幸せだったのかなと思えました。

更新日: 2016/10/24
4066f5d716baさんの感想

美しい物語でした…