「恢復期」の感想
恢復期
かいふくき
初出:「改造」1931(昭和6)年12月号

堀辰雄

分量:約43
書き出し:第一部彼はすやすやと眠っているように見えた。——それは夜ふけの寝台車のなかであった。……突然、そういう彼が片目だけを無気味に開《あ》けた。そうして自分の枕《まくら》もとの懐中時計を取ろうとして、しきりにその手を動かしている。しかしその手は鉄のように重いのだ。まだその片目を除いた他の器官には数時間前に飲んだ眠り薬が作用しているらしいのである。そこで彼はあきらめたようにその片目を閉じてしまう。が、しば...
更新日: 2021/01/31
b53e79cfe52cさんの感想

彼の作品は殆ど全てが清涼感が溢れていますね。この作品もそうですねー。高原、湖、落葉松、それから木洩れ日等の言葉がgood。外国語が作品をセンスアップしてますね。

更新日: 2019/10/27
19双之川喜41さんの感想

 著者の分身と思われる 主人公は 長野県の諏訪湖の 南の  富士見高原療養所で  病と闘うけど 医師の許可を得て 叔母の別荘のある軽井沢に 転地する。 冒頭の文章を  一読してもわかるように  研ぎ澄まされた感性と 筆力によって 詩味豊かな世界を示すと感じた。