「アッタレーア・プリンケプス」の感想
アッタレーア・プリンケプス
アッタレーア・プリンケプス

ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ

分量:約25
書き出し:とある大きな町に植物園があって、園内には、鉄骨とガラスづくりのとても大きな温室がありました。たいそう立派な温室で、すんなりとかっこうのいい渦巻形の円柱が列をなして建物の重みをささえ、その円柱には、枝葉模様をきざんだアーチが、かるがるともたれかかっておりました。そのアーチのあいだには、鉄のわくどりがさながらくもの網《い》のように一面に組みあげられて、それにガラスがはめこんでありました。とりわけ太陽が...
更新日: 2024/04/28
19双之川喜41さんの感想

 著者は ウクライナの出身と聞く。題意は 棕櫚(しゅろ)の木の学名とされる。その木は ほかの 木々達に すくすくと 成長して 温室の ガラス天井を 突き破ってしまおうと 呼びかけるけど もとより 呼応する 他の 植物達は いない。ついに アッタレーアは 天井を 突き破って 寒さに 堪える 外気に 晒(さら)される 羽目となる。しかし 俗物である 植物園長は 温室を 増築することなく 伸び過ぎた 巨木の 伐採を 命じる。童話ふうではあるけど 閉塞感 圧迫感を 伝える 優れた 現代的 ともいえる 作品と 感じた。