白い花
しろいはな
初出:「愚を守る 初版本」1941(昭和16)年8月分量:約3分
書き出し:私は木花よりも草花を愛する。春の花より秋の花が好きだ。西洋種はあまり好かない。野草を愛する。家のまわりや山野渓谷を歩き廻って、見つかりしだい手あたり放題に雑草を摘んで来て、机上の壺に投げ入れて、それをしみじみ観賞するのである。このごろの季節では、蓼、りんどう、コスモス、芒、石蕗《つわぶき》、等々何でもよい、何でもよさを持っている。草は壺に投げ入れたままで、そのままで何ともいえないポーズを表現する。...