私はただ歩いております。 歩く、ただ歩く、歩くことそのことが一切を解決してくれるような気がします。 先生の温情に対してはなんとも御礼の申し上げようがありません。 ただありがとう存じます。 しかし、悲しいかな私には、まだ落ち着いて生きるだけの修行ができておりません。 放哉居士の往生はいたましいと同時に、うらやましいではありませんか。 行乞しながらも居士を思うて、瞼の熱くなったことがありました。 私などは日暮れて道遠しであります。 兎にも角にも私は歩きます。 歩けるだけ歩きます。 歩いているうちに、落ち着きましたならば、どこぞ縁のある所で休ませていただきましょう。 それまでは、野垂れ死にをしても、私は一所不住の漂泊を続けましょう。 分け入っても分け入っても青い山