手紙
てがみ
初出:「ヴアリエテ 第四号」三才社、1934(昭和9)年1月1日分量:約5分
書き出し:野田君また惡いさうだね。だから言はないこつちやない。ぢつと寢てゐたまへ。病氣はこつちで辛抱強く馴らしてやるがいいんだ。一度馴れてしまつたら、こんなに可愛い奴はない。池谷さんが死んだんでこれからお葬式に行くところだ。時間が半端なので、いまコロンバンで、珈琲をのみながら、この手紙を書いてゐるんだ。前から君に「オフェリヤ遺文」のことを何か書けと言はれてゐるので、何か書かう書かうと思つてゐたが、この頃僕は...