自分の身に起こったかのような切迫したリアリティがある。
昔、罪を被った事も、今「それじゃあ元気で」と別れられない事も雄吉のつまらぬ見栄。
青木の出京=予期せぬ出来事 タイトルはダサいが 中味はキクチのテーマのーつ 今度は 自分の罪ではなく,他人の罪へ 人はどう立ち向うか 特に人を信用して裏切られ,憎悪に変わる、そして忘れたころに 「予期せぬ出来事」が訪れる
菊池寛の青木の出京は、雄吉にとって青木は、威厳があり、厄介な、恐ろしい存在のように描かれているが、何故、雄吉は思い切って青木との関係を断ち切らないのか?腐れ縁でしょうがないのか?菊池寛の言いたいことは何なのか?余ります余韻の残らない文章である。
この先が読みたい
どこといって読み処のある話ではない。菊池寛には、じつはこの手の小説がかなりある。大抵の場合、芥川を意識してるのだが、この青木はどうも菊池が芥川に感じた初期の才能や傲慢を切り取って使っているようだ。実際には二人は生涯の友人だった。ただ、大衆文学に身を投じた自身の成功を喜び、しかしまた、それに伴う自己卑下に撞着する菊地と、時代小説でさえ文学ではないとかなり過激に排斥を唱えたような芥川は、文学に対する了見が全く異なっていた。たぶん、菊地は芥川を崇拝してた。芥川は菊地を友人ではあるけれども、堕落文士兼実業家と考えていたのではないか。どちらも、味のある面白いものを書いていると思うが小説の替わり目としては案外、菊地の側にその後に与えた影響を感じる。