近年でこそ内匠頭の問題が色々取り上げられていますが、浅野ーいじめられたかわいそうな人 吉良ー意地悪強欲爺という認識の時代にこの作品を書いた菊池寛は、流石だと思います
忠臣蔵 裏表の設定に、興味深く読みました。
所謂評価の固定された歴史上の事件を多面的に再検分することはとても大切だ。物事を立体的に見ることで事件の本質により近づくことが出来るようになる。どちらも自分の方が正しいと信じているのだから両論併記は必須だ。
喧嘩両成敗と言うが、相対的な善悪だとこうなる。 人権と言う価値観のない時代は、面子、立場など、人殺しの理由は何でもよかったのだろう。 そして庶民は、何でも娯楽にしてしまう強さと明るさを持っている。頼もしい……
先例とか面子といったモノで、割を食ったように思えた。別に特殊な例ではないものな、上野介と内匠頭の衝突は。 そして吉良邸討入りも、千坂の見立ての通りなら、世情を利用した浅野家来達の自己主張だし、さらに上野介が期待していた大石は、悪い意味で昼行灯だった。上野介も高家という家柄がなければ、ただの不器用な一個人だったのだから、この話が何百年も人を惹きつけるのは、深い事情がいくつも絡み合っているからと言えるだろうな。
敵討ちという行為が問答無用で美化される愚かさを描いているとは思うが、ちょっとあっさりし過ぎかな
激情を 押さえられないことが 人生の つまづきの 遠因または 近因となってしまうことがあるので 感情制御は 大切だが なかなか難しい。 損益分岐点に 激怒が 鎮座すると思った。
言い分もあるのかも知れんが、どうにも自業自得な気がする。
歴史学の観点から、というだいぶ難しい内容のレビューがあったので作品を読み直してみたものの私にはわからない内容だったようで残念。なんの話だったのかなぁ? 吉良の擁護作品もだいぶ増えたものの、私はこのくらいがいいかな。 慣習自体が無意味に見える若い当主の気持ちはわからんでもないけど、それを通す強さもない上に暴力で解決しようとして、逆恨みじゃなぁ…。 ま、ただいじめはしたよね、とは認める吉良さんと比べるとね、些か。
菊池寛の吉良上野の立場は、上野介をかばって、何故、歴史上の悪役に成らねばならないのか?こっちの方が名誉毀損とかばっているが、こんな見方は歴史学観点からは理解できないし、小説と言えども、面白くない。
時の幕府は刃傷沙汰をこれ幸いと浅野家を取り潰し、後で仇討ちにも目をつむり、幕府の陰謀、策略があったようだ。でなければ四十七士が夜更けに江戸の町を武器など持って行進出来ない、是非とも読んでほしい、見方が変わると思う。
裏義士伝のはしり。 吉良側から観ると、そのとおりとしか思えない。菊池寛、上手い。