「本能」の感想
本能
ほんのう

田山花袋

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書き出し:本能は人間の如何ともすべからざるものである。人は本能の衝動に逢へば、必ずずる/\と引摺られて行つて了ふ。本能と戰ふは痛快な事業ではあるが、しかも愚かなる行爲たるを免れない。本能に同化した處に平和があり、樂天生活がある。本能に反抗した處に、皮肉があり、悲壯がある。底本:「定本花袋全集第十五巻」臨川書店1994(平成6)年6月10日復刻版発行底本の親本:「定本花袋全集第十五巻」内外書籍1937(昭和1...
更新日: 2020/05/17
こころの花今の季節は蜜柑さんの感想

本能にない行動の延長線上には理のない、皮肉な違和感が残る。 考えることは人間の本分であり、敢えて本能に抗うときは、不器用に其の理を外す。 馬鹿なると覚り、その繰返しは己の本分に非ず、人間の社会性の所以なり。 ただ、其れが他愛ない、赦される範囲の愚行なれば救われるが、他を傷付けることになれば、その愚行はけして許されるものではない。 過疎化の進むふるさとを省みない壮年は、親をなくした後、その許されぬ罪に気づいて嘆く。