田山花袋
本能にない行動の延長線上には理のない、皮肉な違和感が残る。 考えることは人間の本分であり、敢えて本能に抗うときは、不器用に其の理を外す。 馬鹿なると覚り、その繰返しは己の本分に非ず、人間の社会性の所以なり。 ただ、其れが他愛ない、赦される範囲の愚行なれば救われるが、他を傷付けることになれば、その愚行はけして許されるものではない。 過疎化の進むふるさとを省みない壮年は、親をなくした後、その許されぬ罪に気づいて嘆く。