「街の底」の感想
街の底
まちのそこ

横光利一

分量:約8
書き出し:その街角には靴屋があった。家の中は壁から床まで黒靴で詰っていた。その重い扉のような黒靴の壁の中では娘がいつも萎《しお》れていた。その横は時計屋で、時計が模様のように繁っていた。またその横の卵屋では、無数の卵の泡の中で兀《は》げた老爺が頭に手拭を乗せて坐っていた。その横は瀬戸物屋だ。冷胆な医院のような白さの中でこれは又若々しい主婦が生き生きと皿の柱を蹴飛ばしそうだ。その横は花屋である。花屋の娘は花よ...
更新日: 2022/01/13
19双之川喜41さんの感想

 底なので 滓(おり)のようなものが 吹き溜まっている。 どうにも 気持ちが 沈んでしまうと 男は  女学校の退校時間のころ ぼんやりと 校門の前に 佇み 考え込む。 閉塞感に溢れた 描写であると感じた。