「あさぢ沼」の感想
あさぢ沼
あさじぬま
初出:「令女界 第五巻第一号」1926(大正15)年1月1日

田山花袋

分量:約12
書き出し:一私は知つてゐる人に逢はないやうに沼の向う側を通つて行つた。なつかしい沼、蘆荻の深く生ひ茂つてゐる中に水あほひの濃く紫に咲いてゐる沼、不思議な美しい羽色をした水鳥の棲んでゐる沼、私の恋を育てゝそして滅して行つた沼——さびしい田舎の停車場を下りて、百姓家について幾曲も曲つた路を通つて、それからずつと此方へと歩いて来て、その銀色した沼の一部を眼にした時には、私は一種の顫えを心に感じて、ぢつとそこに立尽...
更新日: 2021/05/25
阿波のケンさん36さんの感想

不治の病にかかった妻、その妻が存命中に親戚の女と焼けるような恋に落ちる。妻は嫉妬に狂う。ある決意を胸に主人公の男は二人との想い出の沼を彷徨する。禁断の恋に手を入れた男のその決意とは…

更新日: 2019/10/29
19双之川喜41さんの感想

 人目を避けて ふるさとの 沼を 訪れたのは  その昔  病身の 妻を抱えながら 秘かに 道ならぬ 恋に走ったからである。 蘆荻の深い沼は 言わば 古戦場であり 感傷に 浸りながら 徘徊する。 詩味は そこそこあるけど  趣は薄いと 感じた。