田山花袋という人は、かなり変な御仁だと思う。曲がりなりにも作家なのだから、当然、作家論というものも書かれるのだろうが、あの「もろストーカー」みたいな部分を、どのようにねじ曲げて書くのだろうかと常々気になっていたところ、この随筆に遭遇した。 そして一読して驚いた。 テーマというのは、一言で言えば、こちらになびかない女性を如何にすれば言うことを聞かせることができるかということを、ああでもない、こうでもないと、必死になって書いている、金をちらつかせてもOKだ、それも男の気持のひとつだとか、何だかわけの分からないことを言っています。 明らかにおかしい、どういうシチュエーションなんだ、これは、と考えたとき、あっ‼️ そうだったのかと思い当たりました。 期待とか、ましてや警戒などの一切の先入観を持つことなく、心をむなしゅうして、このもってまわったスカスカの随筆をさっと読み飛ばしたあとに、どういう映像と印象とが残るかといえば、田山花袋が女郎屋に登楼し、花魁を買ったところが、一向に相手にされず、大枚の金をちらつかせ、脅しかけ、平身低頭し、泣きながら拝み倒しても絶対させてもらえない、これは、そういう随筆なのですよ。 だって、この文章からは、当の女性の顔というものが全然見えてきませんもん、でしょ。
男と女のいくつものパターンを述べているが何かピンとこない。