心の絵
こころのえ
初出:「文章世界夏期特別号 第十五巻第八号」1920(大正9)年8月1日分量:約10分
書き出し:いつまで経つても、また何処まで行つても同じであるこの長い人生、時には退屈して何か人を驚かすやうなことをして見たいと思ふことはあつても、さて、さうしてやつて見たところで、矢張同じやうに何うにもならない人生——。この退屈さの対症療法としては、何も好い薬はないけれど、止むなくばそれ、孤独、無為、無想、無念か。『あるがまゝで好い、あるがまゝで好い……。それを何うにかしやうと思つたことが間違つてゐた』かうい...