「馬車」の感想
馬車
ばしゃ
初出:「改造 第十四巻第一号」1931(昭和7)年1月1日

横光利一

分量:約77
書き出し:由良は多木の紹介で脳に特効あるという彼の郷里の温泉へ行くことにした。医者は由良の脳病の原因を疲労の結果だというのだが、とにかく満ち溢れていた水を使い尽してしまった後に起るあの空虚な皮質ばかりを、露骨に頭脳は絶えずがんがんと感じるのだ。文字を見ていても、行と行とが浮き上って紙の上で衝突を始めたり、物事を考えていても、それが心の中で言葉となって進行を始めかけると、もう言葉そのものが前後を乱してばらばら...
更新日: 2022/03/28
19双之川喜41さんの感想

 ライ病村と  心の病に効く と言われている  小さな温泉場を 結ぶのが  題名の『 馬車』であるけど  馬車は 最終ページに 出てくる。 筆者は  他の 男から  足の 指を ペロペロ舐められたり 自称 八卦 の 先生から煙に巻かれたりで 狂気と正気の間を揺れ動く。 深刻な状況の中に  ほのかなユーモアもあり  少し癒されると感じた。