田山花袋
筋という筋が あるわけではないけど 詩情あふれる文章である。転地療法に 来た 若い男が 海岸の岩場を 逡巡する 若い女を 連日 宿の窓から 見かけるので 意を決して 声をかけてみる。理由も聞かずに 心配するなと 言い続ける 男の優しさが 読み手にも 伝わってくると思った。