「花束」の感想
花束
はなたば
初出:「令女界 第五巻第五号」1926(大正15)年5月1日

田山花袋

分量:約12
書き出し:一順吉は今でもはつきりとその時のさまを思ひ出すことが出来た。右に石垣、その下に柳の大きな樹が茂つて、向うに橋がある——その橋も、殿様のゐる頃には大小を挟《たばさ》んだ侍が通つたり、騎馬の武士が蹄《ひづめ》を鳴して勇しく渡つて行つたりしたもので、昔は徒士《かち》や足軽の子供などはそこに寄りつけもしなかつたものであつたが、城に草が生えるやうになつてから全く廃《す》たれて、ぎぼしは盗まれ、欄干は破れ、橋...
更新日: 2019/11/01
19双之川喜41さんの感想

 深い 壺のようになっている渕で  作者の分身と思われる 少年が  密かに想いを寄せている 女の子が  花束を 作ろうとして  壺に転がり落ち 溺死する 。 小品ながら  掉尾整い 詩情あふれるけど 言わせてもらえば  記憶そのままと 記憶離れということを  ふと 思わされたりはする。

更新日: 2018/01/26
芦屋のまーちゃんさんの感想

子どもたちが遊んでいて、一人の女の子が花を摘もうとして、崖から深淵へ転落死してしまう。 実話でないことを祈るが、子ども同士の人間関係が微妙であり、しかし、あり得る関係だ。 主人公(順吉)の友人(餓鬼大将)の妹(お園)が死んでしまうのだが、順吉はお園のことが気になっていた。※大人世界では恋愛感情 そんな、お園が死ぬ、という展開は大人世界でもめったになく、ましてや子供世界ではあまりにも残酷すぎる。