《殉教》この美名の何たる空虚なことか。密通を以って〈ろおれんぞ〉を排斥した者たちは何程の罰が科せられたのか? 翁の娘は本当に地獄に堕ちるのか? 神が実在するのなら〈ろおれんぞ〉は復活しなければならない。
慶長二年五月の古書を下敷きに書かれた。 文体にも古色をつけた。 で 読み解くには 忍耐がいるけど その先には 深い感動がまつ。 色々な仕掛けが込めてあり 意外な展開となる。
昔の日本のキリスト教の様子が 古文体にもかかわらず、生々と 描かれ、さすがに芥川龍之介。 英語をどのように日本語に訳して いたのか、当時の様子も感じられて大変興味深いです。
芥川作品、キリスト文学作品の中でも屈指の傑作であり、名作。テーマは自己犠牲と殉教だ。その自己犠牲のうつくしさと顛末の巧妙さは、今なお作中に鮮やかに輝き続けている。