「今戸狐」の感想
今戸狐
いまどぎつね

小山内薫

分量:約2
書き出し:これは狐か狸だろう、矢張《やっぱり》、俳優《やくしゃ》だが、数年《すねん》以前のこと、今の沢村宗十郎《さわむらそうじゅうろう》氏の門弟で某《なにがし》という男が、或《ある》夏の晩|他所《よそ》からの帰りが大分遅くなったので、折詰を片手にしながら、てくてく馬道《うまみち》の通りを急いでやって来て、さて聖天《しょうてん》下の今戸橋《いまどばし》のところまで来ると、四辺《あたり》は一面の出水《でみず》で...