小説家を志す(志したことがある)人は全員読むべき!傑作!
どちらかと言うと主人公以外の、佐竹や吉野の方が余りに無名作家的だと思った。後半の何行かで彼らを描くことこそメインで、主人公からの視点はあくまで「定点」で、そこを通じて山野たちと比較させるという冷徹なやり方が、文壇で名を成す態度なんだなと思ったな。
自身の無才を自覚しながらも、才能ある作家を憧憬し、ずるずると言い訳を吐きながら契機を伺う主人公の態度は、矛盾しているようで、しかし芸術への愛情は一貫しており、作者の「創作」に対する大変強い思いを感じました。 菊池寛はその後芥川龍之介(作中の山野のモデルとされる)とは厚い交流を結び、文藝春秋を創刊し新人作家を登壇させることに尽力します。 芥川の死後、新人作家の賞、芥川賞と直木賞を作ったことも、本作ににじみ出る作者の芸術への思想と無関係ではないと思います。
すごい! 菊池寬の実力 素晴らしい 「一人の天才が生まれるために 百の凡才が苦しむ」 このテーマ
目指すは文壇。発表。インテリ達の意地をかけた背比べの描写が巧妙で、現代の普通の人となんら変わらない嫉妬、妬み、絶望の様が面白い。 道を極めることの厳しさと運、最後に至る諦めは名も知られない才能ある人達の共通の心情を物語っめいる。 菊池寛は、生き方も破天荒だったらしく最終的には作家から遠ざかり経営者となった人。
菊池寛の無名作家の日記は、本人の本性、つまり嫉妬深さと妬み根性、自分より優れたライバルを素直に認めない、貶しこけ脅す性格を代弁していよう。読んでいてたのしくもなく、ひがみと陰険は呟きに満ちた作品。しょうもないい。
芥川を明確に意識したと読者に思わせ、さらに自分をルーザーにしたてあげて読者をひきつける。芥川が怒らないだろうかと編集者が心配したという作品の一つ。こういう のを平気で発表できるしたたかさが菊池寛にはある。