枯尾花
かれおばな
初出:「新小説 明治四十四年十二月号」春陽堂、1911(明治44)年12月分量:約21分
書き出し:◎北千住《きたせんじゅう》に今も有る何《な》んとか云う小間物屋の以前《もと》の営業《しょうばい》は寄席であったが、亭主が或る娼妓《しょうぎ》に精神《うつつ》をぬかし、子まである本妻を虐待《ぎゃくたい》して死に至らしめた、その怨念が残ったのか、それからと云うものはこの家に奇《あや》しい事が度々《たびたび》あって驚《おど》ろかされた芸人も却々《なかなか》多いとの事であるが、或《ある》時|素人連《しろう...