白い光と上野の鐘
しろいひかりとうえののかね
初出:「新小説 明治四十四年十二月号」春陽堂、1911(明治44)年12月分量:約9分
書き出し:私は『白い光り』と『上野《うえの》の鐘』の二題に就《つ》いて、ざっと荒筋|丈《だ》けをお話しようと思う、真に凄い怖いというようなところは、人々の想像に一任するより外《ほか》は無い。それに何《ど》うもこの怪談というやつは再聞《またぎき》のことが多い。その中でもまだあまり人に話したことのない比較的最も深い印象を与えられたものというと、突嗟《とっさ》の場合|先《ま》ずこの二題を推《お》す。美術学校創立当...