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怪異を科学的分析。でも怪異は怪異のままの方がロマンがある。

　一昨日、哲学館において井上円了氏の演ぜし妖怪取り調べ報告の大要を聞くに、左のごとし。　昨年十一月中旬より、山梨県北都留郡（すなわち、いわゆる郡内）大目村、杉本永山氏の宅に一大怪事現出す。今、その怪事の概略を記さんに、その本体は形もなく影もなく、目もって見るべからず、手もって触るるべからざるをもって、なにものの所為たるを知るべからざれども、空中に一種奇怪の声ありて、明らかにこれを聴くことを得べし。しかして、その声はあたかも人の口笛のごとき響きにて、よく五｜音《いん》をいい分け、人と問答会話するをもって、なんぴとにてもこの怪声に対し問いを発せば、いちいちその答えを得という。この声、最初の間は夜分のみ聞こえしが、後には昼夜を分かたず聞こゆるに至りしかば、このこと、いつしか近村の一大評判となり、人々みなこれを奇怪とし、実際にこれを聴かんと欲して、その家に争い集まる者、前後｜踵《きびす》を接し、一

「甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」の感想

甲州郡内妖怪事件取り調べ報告

こうしゅうぐんないようかいじけんとりしらべほうこく