松代まち歩きの時に、解説の宮下さんから皆神神社の宝物庫に豊栄小学校の奉安殿が利用されていると知った。戦後、皆神神社に移築されたものだ。この奉安殿は豊栄小学校にある際は、耐火構造で校舎から離れた場所に建てられていた。それは明治以降、火災により全国各地の学校校舎が焼失し、御真影も焼失する事件が頻発したためだと知った。校長が責任を取り、御真影を取り出そうと火事の中に飛び込む事態も起きた。 この久米正雄の父のように、たかだか御真影という名の1枚の絵のために命を犠牲にする必要があったのか。今とは異なる、近代日本の狂気を垣間見える小説でした。