菊池寛自身も修学や就職、結婚に至るまで成瀬家という一家の援助があり、特に夫人にはお世話になったようです。この話は実際の体験が元になっているのだろうなと思います。菊池寛の作品には恩返しがテーマの作品がいくつかありますが、自分自身の恩を返せなかった後悔が根底にあるのかもしれません。
一方的にセンティメントを吐き出している作品。恩返しを幾らしても対等にはなれない程、夫人の存在は大きい。
恩を返したい人に返せるときはその人はもういない。
昔に読んだ作品でやけに覚えていたのだけど、たぶん大島紬という着物があると知ったからか。これと言って読み処がない。