「亡びゆく花」の感想
亡びゆく花
ほろびゆくはな

岡本綺堂

分量:約4
書き出し:からたちは普通に枳殻と書くが、大槻博士の『言海』によるとそれは誤りで、唐橘と書くべきだそうである。誰も知っている通り、トゲの多い一種の灌木で、生垣などに多く植えられている。別に風情もない植物で、あまり問題にもならないのであるが、春の末、夏の初めに五弁の白い花を着ける。暗緑色の葉のあいだにその白い花が夢の如くに開いて、夢の如くに散る。人に省みられない花だけに、なんとなく哀れにも眺められる。市区改正や...
更新日: 2023/11/14
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岡本綺堂が見たからたちの生垣はもうない。からたちの寺と呼ばれた寺も今は無い。地味で日本的な風景や風情は次第に亡び、文章の中だけにひっそりと生き残っている。