内田魯庵
二葉亭四迷の名前に触れたのは、学生時代の日本史の授業であったと思う。その時は、ただ、試験に出る文人として、代表先の書名を記憶したに過ぎなかった。最近、明治期の大日本帝国陸軍情報将校「石光真清」氏の回顧録に触れ、そこに「二葉亭四迷」と接点を持った旨の記録を見た。ここに、本書を見つけ読み進むに、成る程、二葉亭四迷のハルピン行の記述を見る。本書にて、二葉亭四迷の人物像に触れ、明治士族の気概に圧倒される次第である。文人としての二葉亭四迷よりも、大陸浪人としての二葉亭四迷に興味を持った。