登山ラッシュにわく現代の着飾った文章ばかりを読んでいる私には、まだ山に踏み入る人がめずらしかった 古き よき時代の、軍隊の報告書のような簡素な文章が新鮮でした。 明治の人は足の裏、頑丈だったんでしょうね! ワラジの縄を しっかりしめあげ、伝説のガイド嘉門次の先導で、穂槍の縦走ですか! 短編で、大キレットの通過の描写も いたって簡潔。 「 峰頭を仰ぐと危岩が転げ落ちそうで、思わず首がすくむ、足下は何十丈だかしれぬ深谷、ちょっとでも 踏みそこなうものなら、身も魂も この世のものとは思われぬ。 」 大キレット いまも昔も、生きた心地がしなかったのは同じですね! 〈 膝痛の杣人 〉