「穂高岳槍ヶ岳縦走記」の感想
穂高岳槍ヶ岳縦走記
ほだかだけやりがたけじゅうそうき
初出:「山岳 五の一」1910(明治43)年3月

鵜殿正雄

分量:約24
書き出し:一神秘の霊峰信飛の国界に方《あた》りて、御嶽《おんたけ》・乗鞍・穂高・槍の四喬岳のある事は、何人《なんぴと》も首肯《しゅこう》する処《ところ》、だが槍・穂高間には、なお一万尺以上の高峰が沢山群立している、という事を知っている者は稀《まれ》である。で折もあらばこの神秘の霊域を探検して世に紹介しようと思うていた。幸い四十二年八月十二日正午、上高地《かみぐち》の仙境に入門するの栄を得た。当時、この連峰の...
更新日: 2020/10/25
d38a3394d039さんの感想

登山ラッシュにわく現代の着飾った文章ばかりを読んでいる私には、まだ山に踏み入る人がめずらしかった 古き よき時代の、軍隊の報告書のような簡素な文章が新鮮でした。 明治の人は足の裏、頑丈だったんでしょうね! ワラジの縄を しっかりしめあげ、伝説のガイド嘉門次の先導で、穂槍の縦走ですか! 短編で、大キレットの通過の描写も いたって簡潔。 「 峰頭を仰ぐと危岩が転げ落ちそうで、思わず首がすくむ、足下は何十丈だかしれぬ深谷、ちょっとでも 踏みそこなうものなら、身も魂も この世のものとは思われぬ。 」 大キレット いまも昔も、生きた心地がしなかったのは同じですね! 〈 膝痛の杣人 〉