「落葉降る下にて」の感想
落葉降る下にて
おちばふるしたにて

高浜虚子

分量:約29
書き出し:私は今或る温泉に来て居る。此の温泉には二十年程前に一度来たことがある。其れは或る大病をした揚句であつて、其の時は医者から一度見放された位であつたのが幸いに快方に向つて、其の恢復期を此の温泉で過ごしたのであつた。二十年程前といふとまだ私は二十を沢山越してゐなかつたので、私は早婚ではあつたが、其の頃はまだ乳呑児が一人ある位のものであつた。其の頃私はこゝの温泉につかりながら心は歓喜に充ちてゐた。すんでの...
更新日: 2020/10/31
19双之川喜41さんの感想

 かなり前に 訪れたことのある 山奥のひなびた温泉場の焼き場で 自分の孫の遺体を 蓆(むしろ)と薪をもちいて 荼毘(だび)にふす男と 行き合う。  虚子は  幼子を亡くしたこともあり 特別の感慨を持って見守ると感じた。

更新日: 2017/10/25
0fee227de081さんの感想

一番印象に残ったものは、自身の子どもの死をきっかけとした「私」の中の滅亡観とも言うべきものである。その考えをなぞるように、落葉の様子や火場における祖父による孫の火葬の様子があり、菅(?)原だと「私」が思っている人物への噂や火事の当事者ではないかという部分に繋がっていく。特に菅原という人物については不確かな事柄が多いにも関わらず、自身の滅亡観にしたがって後ろ暗い想像に繋がっている。全体を通してどこかさみしい部分が強調された物語であった。