「葛飾土産」の感想
葛飾土産
かつしかみやげ

永井荷風

分量:約27
書き出し:○菅野《すがの》に移り住んでわたくしは早くも二度目の春に逢おうとしている。わたくしは今心待ちに梅の蕾《つぼみ》の綻《ほころ》びるのを待っているのだ。去年の春、初めて人家の庭、また農家の垣に梅花の咲いているのを見て喜んだのは、わたくしの身に取っては全く予想の外にあったが故である。戦災の後、東京からさして遠くもない市川の町の附近に、むかしの向嶋《むこうじま》を思出させるような好風景の残っていたのを知っ...
更新日: 2021/05/12
f203cf8d6bb6さんの感想

当時荷風の寓居があったのは私の生まれ育った地だ。 荷風が棲んでいた昭和22年の風景はまさしく若き父が見た風景。 荷風が見た桜並木や渡ったであろう木造の橋も一つ、私が幼い頃にはまだ残っていた。 荷風に古き東京の景色を彷彿とさせた地も私の幼少期より更に都市化されてしまった今、私にとって懐かしい風景を思い起こさせてくれる一編だった。