「鐵」の字の古体と古代の文化
「てつ」のじのこたいとこだいのぶんか
初出:「民族と歴史 第一巻第三号」1919(大正8)年3月分量:約4分
書き出し:「鐵」の字古く「銕」また「※」に作る。「銕」の字は旁《つくり》が「夷」に従っている。夷は東方異族の称で、「銕」はすなわち東夷の金の義である。東方の国早くこの金属を産し、シナに輸入したものと見える。『魏志』〔弁辰伝〕に「国鐵を出す、韓・※]・倭皆従ひて之を取る。諸市買ふに皆鉄を用ふ」とある。「神功紀」に、百済|谷那《こくな》の鉄山《てつむれ》の事もある。わが国にも随処砂鉄を産する地多く、鉄を採るの術...