双喜 あらすじを 人に 伝えることを 阻止しよう という 書き手の意地の悪い たくらみを 秘めた なんとも 手に おえない 小説ではある。そんな 作者の 悪巧みを 気にしていては 術中に はまり 読み手の 負けと されてしまうので 取り合えず わかったような ふりをして見せる。城から 雇われた 測量士なので 城の中に 入れてもらえないと 仕事に ならないのだけど 執拗に 城側から 入城を 阻止される。誰だって なんで 呼びつけたんだよ となる。多分 読み手の 多くは 起承転結 筋立て ネタ 教訓 暗喩 達成感 などを 無意識のうちに 期待しているけど 作者は そこを 遥かに 超越した 高み かもしれない 低み かもしれない 視点から 創作活動を 勝手 気ままに 繰り広げる。純朴な 読み手は おおいに 混乱し 投げ出してしまうような 人がいても 恥でも なんでもない。最後まで 読み切らないとしても 心の 奥深くに 何かが 沈潜するかもしれない 何の 脈絡も なく こころに 刻み 付けられるかもしれない なるべくなら 情熱に 溢れた 吸収力に あふれた 若い 時期に 読み手は 着手したほうが よろしいかなと 心底 感じました。
この作品を読み終えた私もまた、カフカ的不条理に囚われるのでした。
記録
カフカ後期の未完の長編。正にカフカ・ワールドと言える作品ではないでしょうか。何度も頭を捻りながら、何とか最後まで読みました。台詞が長く、理詰めなのに、不可解で、ちょっと本から目を離すと、もう何の話だったか思い出すのに苦労する感じです。「世界の作家の選んだ名作百選リスト」にも載っています。いつの日か再読しようと思わせる作品です。