「仁王門」の感想
仁王門
におうもん
初出:「小説新潮」1955(昭和30)年5月

橘外男

分量:約75
書き出し:手紙の形で書かれてあるし、書いた本人は毒を呷《あお》って死んでいるのだから、おそらく遺書だろうとは思うのだが、発見した場所が場所だから、どうもその点がハッキリせぬ。もし仮に遺書だとしても、果してその中込《なかごめ》礼子という、婦人に宛て送るつもりで書いたのか、書き終ったら気が変って、そのままうっ棄《ちゃ》って置いたのか?それともこれを下書きにして、もう送ってしまったのか?そういう点が、一切不明であ...
更新日: 2021/07/12
阿波のケンさん36さんの感想

学校は退学、親には勘当された作者がこの様な家族愛に満ちた作品を残すのだから人間は分からない。感動した。人間愛と言って良いかも知れない。

更新日: 2020/10/23
8e2e3f535e35さんの感想

橘氏しか書けないタッチで進んでいくもの悲しい物語。橘外男の世界に引き込まれる。しかしながらこの時代の作家には久生十蘭はじめ凄い人がいたものだ。

更新日: 2020/08/22
7015a4684970さんの感想

冒頭の、黴菌、という表現で結末の予想がついてしまったので面白みは少なかった。 ハンセン病への偏見と差別が蔓延していた時代の作品である。当時の常識を知るという意味では貴重だと思う。 家族がある病気になったというだけで、一族ぐるみで社会的に抹殺される恐怖に取り憑かれ、追い詰められてしまうのは、今のコロナパニックに陥った日本社会と重なるように思う。

更新日: 2020/08/11
19双之川喜41さんの感想

 仁王門の楼上に 秘された 謎解き仕立てで 話は展開するけど 投げかけられる 問には 深いものが在ると 想った。