車蝦の茶漬け
くるまえびのちゃづけ
初出:「星岡」1932(昭和7)年分量:約2分
書き出し:えびのぜいたくな茶漬けを紹介しよう。これまた、その材料の吟味《ぎんみ》いかんによる。これから述べようとするのは、東京の一流てんぷら屋の自慢するまきと称する車えびの一尾七、八|匁《もんめ》までの小形のもので、江戸前《えどまえ》の生きているのにかぎる。横浜|本牧《ほんもく》あたりで獲《と》れたまきえびを、生醤油《きじょうゆ》に酒を三割ばかり割った汁で、弱火にかけ、二時間ほど焦《こ》げのつかないように煮...