「報恩記」の感想
報恩記
ほうおんき
初出:「中央公論」1922(大正11)年4月

芥川竜之介

分量:約45
書き出し:阿媽港甚内《あまかわじんない》の話わたしは甚内《じんない》と云うものです。苗字《みょうじ》は——さあ、世間ではずっと前から、阿媽港甚内《あまかわじんない》と云っているようです。阿媽港甚内、——あなたもこの名は知っていますか?いや、驚くには及びません。わたしはあなたの知っている通り、評判の高い盗人《ぬすびと》です。しかし今夜参ったのは、盗みにはいったのではありません。どうかそれだけは安心して下さい。...
更新日: 2023/05/30
鍋焼きうどんさんの感想

甚内が弥三右衛門に返した恩が、巡り巡って伜弥三郎を失うことになったのは皮肉だが、よくよく考えてみると、弥三郎の親不孝と報恩にかこつけた身勝手な意地であることが分かる。甚内が弥三郎に親孝行しろと説教するところは、甚内がこれまでしてきた悪業を考えると矛盾しているようだが、弥三右衛門への恩義から発した言葉だろう。

更新日: 2021/01/10
19双之川喜41さんの感想

 甚内は 破産寸前の豪商の危機を 救う。 豪商の勘当された倅は 盗賊である甚内の 身代わりとなり 生首を晒される。 二重の 恩返しとなり 哀感が 漂うと感じた。