八人の子供がいる老医師が自分の庭に松を植え始める。それを大事に育て毎年更に土地を広げて植え、冬には霜が降りて春には黄色の花粉が石に付いている風景を老医師は楽しんでいた。 いつしか老医師は松林の中の一番お気に入りの場所に自分の墓を造りたいと思うようになり、その場所を見つけた。そこに自分の家族全員の墓ができることなど想像していた。 或る時松林の下に自分がいていることに気付いた。つまり墓に居る。見上げると松林が見える。しかし周囲の松林は赤く枯れており、遠くを見ると更に広がる松林であったが、赤く枯れた松林が広がっていた。それは夢であったが、その夢はそれ以後何度も見るようになった