よもやまの話
よもやまのはなし
初出:「ラ・フゥルミ 九号」1934(昭和9)年11月23日分量:約12分
書き出し:ジイド全集ももうあと三冊で完了する。寔によく読まれよく評されて来た。今更私なぞがジイドのことを書くにも当るまい。ジイドのことを書けとて与られた紙面ではあるが、そのやうなわけで今はよもやまの話をさせて貰はうと思ふのである。※ソクラテスからジイド迄、いやもつと前からジイド迄かも知れぬ、僅々七十年間に、一とわたり読破した我が日本の力といふものは、世にも恐ろしい力である。だがまた振返つて考へてみると、そこ...