「古本評判記」の感想
古本評判記
ふるほんひょうばんき

永井荷風

分量:約6
書き出し:一、そも/\都下の古本屋に二種ありなぞと事々しく説明するまでもなし。其の店先に立てば一目直に瞭然たり。一は活字本当世新刊和洋の書籍雑著を主として和本唐本を置かず、他は和本唐本を主となし活版本は僅に古書の翻刻物を売買す。一、後者は東京書林組合と云ふものを設け行事世話人を選び春秋折々両国美術倶楽部にて古書珍本現金即売展覧会を開く事已に年あり。本年より何故にや両国はやめにして会場を神田明神開花楼に移した...
更新日: 2022/02/03
cdd6f53e9284さんの感想

この随筆がいつ頃書かれたものか、年代が記載されてないのでわからない。時間のあるときに、ここに書かれている書店名を抜き書きして、端から調べたいと思いながら、そうだ、冒頭にある東京書林組合なるものくらいは調べてみようと思いたった。検索したところ、時の政府の干渉に敏感に反応し、生殺与奪の影響を受けたらしいことが窺われた。明治5年に設立されて以降、紆余曲折を経て昭和16年に解散したとあるから、戦争の影響もあったかもしれない。古書店まわりが好きだった荷風もそうした時代の移り変わりを見ながら生きたのだと思う。