この随筆がいつ頃書かれたものか、年代が記載されてないのでわからない。時間のあるときに、ここに書かれている書店名を抜き書きして、端から調べたいと思いながら、そうだ、冒頭にある東京書林組合なるものくらいは調べてみようと思いたった。検索したところ、時の政府の干渉に敏感に反応し、生殺与奪の影響を受けたらしいことが窺われた。明治5年に設立されて以降、紆余曲折を経て昭和16年に解散したとあるから、戦争の影響もあったかもしれない。古書店まわりが好きだった荷風もそうした時代の移り変わりを見ながら生きたのだと思う。