「犬」の感想
いぬ
初出:「中央公論」1913(大正2)年1月

島崎藤村

分量:約12
書き出し:此節私はよく行く小さな洋食屋がある。あそこの鯛《たひ》ちり、こゝの蜆汁《しゞみじる》、といふ風によく猟《あさ》つて歩いた私は大きな飲食店などにも飽き果てゝ、その薄汚い町中の洋食屋に我儘《わがまゝ》の言へる隠れ家を見つけて置いた。青く塗つた窓際には夏からあるレエスの色の褪《さ》めたのが掛つて居る。十二月らしい光線は溝板《どぶいた》の外の方から射し入つて、汚点《しみ》の着いた白い布の掛つた食卓の上を照...
更新日: 2021/03/08
19双之川喜41さんの感想

 愚かしいことを  誇りに思うようなことは 誰にでもある。 まだ  肉さし (ホーク)と呼ぶような 時代に  小さな洋食店で 食事をしながら  まず誰から教育を受けたか  を思い出す 。 逆夜這いに来た 女中  淫らな 流行歌を歌って聞かせた女中  ペロペロと 顔を 舐め回す 狆 なども 教師ともいえよう。