「誠心院の一夜」の感想
誠心院の一夜
せいしんいんのいちや

今井邦子

分量:約12
書き出し:赤染衞門は先程から不思議なものを見た、と云ふ氣がしてならなかつた。併し其れは決して惡い氣持のものではない。いやむしろ先程から清げに、圓滿に落着くべき處に落着いた惱みの道を全く通り拔けて、女として、人間として、最も落着いた境地に入り得た者の、其の姿を見たと云ふ氣で、ともすれば吾れ知らず惹きつけられて、尼君の短かい髮のあたり、その未だ老に入らない不思議な美しさを思はせる下ぶくれの、顎のあたりへ自分の目...
更新日: 2021/03/28
b53e79cfe52cさんの感想

日本女性に必ず読んでほしい本。恋多い和泉式部と良妻賢母の赤染衛門との初老期の対話。美しい平安文学そのままに女性の恋の心象が語られていく…