「長崎の鐘」の感想
長崎の鐘
ながさきのかね
初出:「長崎の鐘」日比谷出版、1949(昭和24)年1月30日

永井隆

分量:約164
書き出し:その直前昭和二十年八月九日の太陽が、いつものとおり平凡に金比羅山から顔を出し、美しい浦上は、その最後の朝を迎えたのであった。川沿いの平地を埋める各種兵器工場の煙突は白煙を吐き、街道をはさむ商店街のいらかは紫の浪とつらなり、丘の住宅地は家族のまどいを知らす朝餉《あさげ》の煙を上げ、山腹の段々畑はよく茂った藷の上に露をかがやかせている。東洋一の天主堂では、白いベールをかむった信者の群が、人の世の罪を懺...
更新日: 2021/07/15
9595db45a592さんの感想

医師としての冷静な分析、被爆者としての感情、そして敬虔な信者として地獄絵図を信仰で前向きに乗り切ろうとする葛藤、全要素が淡々と記録されています。その落ち着いた文体から、事実なんて信じたくない様な惨劇の様子があとありと想像できて、感情が揺さぶられました。 被爆国として、知っておくべき作品だと思います。

更新日: 2020/11/06
9088e6c8b4bfさんの感想

涙がでる。今は平和な時代だけどこんな事が二度と起きないように、この本を読んで強く願わずにはいられない。連続ドラマ「エール」で紹介されていたのでふと目にとまった。

更新日: 2019/11/02
19双之川喜41さんの感想

 先人の 筆舌に尽くし難い惨状のうえに 今日の平和が 成り立っていることは 多くの人々が 強調するけど 全くその通りと思う。 この地は 地球上で 大切な巡礼の地の一つとするべきと 確信する。

更新日: 2017/08/20
37c7e2920201さんの感想

著者は爆心地の近くの長崎医科大学に勤めており、生々しい文章からは読んでいるこちらも現場にいるようかのような臨場感があります。 原爆とは何か、戦争とは何か。身近な人が次の瞬間無惨にも死ぬ。原爆によって体を焼かれた市民が助けを求めて病院に押し寄せる。 読んでいて涙が出てくるのを押さえられません。 戦争の悲惨さを再認識させられる名著です。 後半で、著者は戦争の本質を復員してきた若者に述べています。戦場を体験した者にしかわからない感覚だと思います。 近年は軽々と戦争、戦争という浅膚な人が増えているように思いますが、是非この作品を読んで深く考えて頂きたいと思います。 また、クライマックスの著者の原爆合同葬弔辞はキリスト教の観点から書かれています。ふと、広島にある原爆の碑の文章を思い出します。「主語は誰なのか」という議論がありますが、著者の弔辞を読んだとき、あの主語が誰なのかを理解しました。

更新日: 2017/07/24
730d609ce287さんの感想

戦争物は苦手だけど知りたいという気持ちもあったので読んだ。話の展開というかとにかくこうなることはわかってた。でもやっぱり怖かった。とにかく怖かった。戦争は怖い。もう2度と起こしてはいけないことだと思った。

更新日: 2017/07/21
natujimaさんの感想

72年が経って、人々から11:02も、8月9日も、原子爆弾の脅威が爆風と熱量だけでない事も何もかも薄れつつあるように思う。 放射能が鉄筋コンクリートでは防げないことも。 何より、被爆者が伝染病患者でないことを知らない子供がいることが恐ろしい。

更新日: 2015/09/07
8cbfb52d9fdbさんの感想

今、思えば遠い思いで? 約60年前、初めて長崎の地に立った。 記念公園や永井博士の家が再現されていた。 めがね橋、浦上天主堂、グラバー邸を見学した、平和を、今を改めて祈ります!79歳、旅立ちも近い。アーメン