国楽を振興すべきの説
こくがくをしんこうすべきのせつ
初出:「明六雜誌 第十八號」明六社、1874(明治7)年10月25日分量:約5分
書き出し:方今|我邦《わがくに》、改正・振興すべきものはなはだ多し。音楽・歌謡・戯劇《ぎげき》のごときもその一なり。このこと、急務にあらざるに似たりといえども、にわかに弁ずべからざるものなれば、早く手を下《くだ》さざれば、その全成を期しがたし。けだし音律の拙《つたな》き、いまだ我邦より、はなはだしきはあらず。古代、唐楽を伝うといえども、わずかにその譜に止《とど》まり、その楽章を伝えず。恐《おそら》くは語音通...