「筆」の感想
ふで

斎藤茂吉

分量:約3
書き出し:筆齋藤茂吉『書』のことになると、中華の人々は昔から偉い。シンの王右軍一人の存在だって、もはや沢山だといふ気持がするのに、ぞくぞくとその後に偉い人が出て居る。しかし私は書のことは分からずにしまつた。蘭亭序だつて、右軍がどの程度に偉いのか、つひに分からずにしまつた。そこで、私は書のことなどは論じられない。私はある年、中国の北平に遊び、ルリシヤンといふ所を散歩した。そこには、賀蓮青だとか、戴月軒だとかい...
更新日: 2018/09/09
いちにいさんの感想

中国で買った筆だが、長年使う暇がなかった。忘れた頃に、その筆が出てきたが、毛が全部虫に食われ坊主になっていた。「何時か何時かと思っていても、いざという時にはもう遅い」という教訓めいたストーリーだが、さりげない事実として書いている点が共感できる。本人はあまり関心なく、小説のネタが出来た、くらいの思いかもしれない。