斎藤茂吉
中国で買った筆だが、長年使う暇がなかった。忘れた頃に、その筆が出てきたが、毛が全部虫に食われ坊主になっていた。「何時か何時かと思っていても、いざという時にはもう遅い」という教訓めいたストーリーだが、さりげない事実として書いている点が共感できる。本人はあまり関心なく、小説のネタが出来た、くらいの思いかもしれない。