斎藤茂吉
ある寺では、帽子を脱げ、と注意され、ある殿堂では、帽子をかぶれ、と促される。 踏んだり蹴ったり、である。 しかし、他人に指図されるほど、ムカつくことはないだろう。親兄弟配偶者でも時と場合では、腹が立つが、赤の他人から叱責されるなんて、いくら当方が常識外れの行為をしたとしても、素直に謝罪する気になれない、心境よくわかる。 ましてや、一度の失敗を次には改めたのに、それが逆だったのだから、何ともヤりきれない。気の毒だ! こんな日もあるさ!と言ってやりたい。