道中一枚絵 その一
どうちゅういちまいえ そのいち
初出:「文芸倶楽部 第十巻第一号」博文館、1904(明治37)年1月1日分量:約28分
書き出し:「奇妙《きめう》、喜多八《きたはち》、何《なん》と汝《てめえ》のやうなものでも、年《ねん》に一度《いちど》ぐらゐは柄《がら》に無《な》い智慧《ちゑ》を出《だ》すから、ものは不思議《ふしぎ》よ。然《しか》し春《はる》早々《さう/\》だから、縁起《えんぎ》だ、今年《ことし》は南瓜《かぼちや》が當《あた》るかな。しかし俺《おれ》も彌次郎《やじらう》、二《ふた》ツあつた友白髮《ともしらが》、一《ひと》ツは...