殿さまの茶わん
とのさまのちゃわん
初出:「婦人公論」1921(大正10)年1月分量:約15分
書き出し:昔《むかし》、ある国《くに》に有名《ゆうめい》な陶器師《とうきし》がありました。代々《だいだい》陶器《とうき》を焼《や》いて、その家《うち》の品《しな》といえば、遠《とお》い他国《たこく》にまで名《な》が響《ひび》いていたのであります。代々《だいだい》の主人《しゅじん》は、山《やま》から出《で》る土《つち》を吟味《ぎんみ》いたしました。また、いい絵《え》かきを雇《やと》いました。また、たくさんの職...